" />

経営・マネジメント

スタートアップからの進化:仕組み化ステージへ(企業の成長ステージPart 2)

前回は「企業の成長ステージ」シリーズPart 1として「スタートアップ」を取り上げました。「スタートアップ」は「価値提供プロセスの構築と永続化(サステイナブルになる)」が肝心で、それに全振りするステージです。

さて、今回はスタートアップの次のステージをPart 2として取り上げます。

さて、このステージを何と呼ぼうか(笑)

今回Part 2で取り扱う企業ステージですが、前回Part 1で取り上げたスタートアップの価値提供がある程度構築されたその後に当たります。これを今回は「仕組み化」ステージ/「仕組み化」期と呼びたいと思います。このステージを何と呼ぶかはどの切り口から物事を見るかによって結構変わってくると思います。

スタートアップ・ベンチャー界隈では「Seed, Early, Growth, LaterそしてIPO」みたいな段階を経る事が多いです。これはIPO前提としての成長の駆け抜け方を表しています。前回のPart1は「立ち上げてビジネスの0→1が出来て、それが成長していくステージ」ということで、これはこのIPO界隈の呼び方の「Seed, Early, Growth」の3つのステージまでを包含します。となるとこのPart 2で「Later期」みたいに呼んだ方がいいのか、というとPart 3でより後期の、大企業となるフェーズを取り上げるので「『Later』ってのもなぁ・・・」と思ってしまいました。

そう思ったもう理由の一つは、「多くの会社は未上場企業」だということにもあります。日本の企業は約367万社、そのうちの上場企業数はざっくり2,000社ということで上場企業の数は0.05%と圧倒的少数です。「Later期」というのは上場を目指すスタートアップの「上場する前の最後の何年か」という時期を指すので、この呼称はマイノリティにしか当てはまらんなぁ、と。「いやいや、最近のスタートアップはとりま上場目指してそれが夢破れて未上場に落ち着くだけよ・・・」とかの議論もあるかもしれませんが、ちょっと脇道に逸れるので無視!(笑)

Part 1で述べた通り、「スタートアップ」はまずは立上げ直後は「価値提供の構築」です。ここまでは上場目指そうが、目指さぬままでいようが同じ。その後何が必要かと思うと「仕組み化」だと思いました。IPOを目指すのであれば、それに応じた組織体制・構築もやって行かないといけないので「仕組み化」は至上命題です。また、私のブログのテーマである「経営」を機能させるには上場を目指さぬ企業でもやはり「仕組み化」が必要となります。ただ、アンチ「仕組み化」だったり、言行不一致で言葉のうえでは「仕組み化」を唱えていても、実際の行動はアンチ「仕組み化」を地で行っている人もいます。これは後述します。この「仕組み化」をきちんとできるか否かで岐路が結構別れてくることが多いです。

「仕組み化」の目標は「再現性」

前回の投稿で取り上げたスタートアップの草創期の主眼は「価値提供」の構築:経営を一旦無視、効率を無視して成果を上げることです。ある程度「価値提供」の構築が出来たということが「成果」です。このステージは前回使った表現で「虫眼鏡で焦点を合わせて光を集中させて火起こしし、燃え広がる様にする」感じです。これは全く効率的ではないのですが、お金ない、人いない、仕組みがないというリソースがないない尽くしの環境下にあるスタートアップが価値提供の仕組みを構築する(ほぼ)唯一の手段です。効率は良くないけど立ち上げの為には必要なプロセスで、その中に居る人の中にシニカルに「これって効率よくないよね」なんて言っている人がいると一枚岩になり切れないが為、「Motivation」や「仲間感」が必要となります。また「仕組み化」が出来てない段階です。それはさながら学園祭の様相を呈しております。

次のステージの目標は「仕組み化」です。で、「なんで『仕組み化』が必要になるの?」という疑問が出てくると思います。IPOを目指す企業であれば、フロント/バックの分離など、「上場基準を満たすうえで必要であるから」という形式的な答えが出てくると思います。この回答自体は本質的ではないですが、まあ形式要件で必要なのは事実です。では、一方でIPOを目指さない企業、これらは前述の通りIPO企業より明らかに多いのですがそれらの企業に「仕組み化」は不要なのか、目指さなくていいのか、というと「ほぼ必ず仕組み化した方が良い」という回答になります。その理由としては「目標達成の再現性」を構築する為、と言えます。この「再現性」というのは、下位概念としては「客観化」「共有化」「脱属人化/組織化」「効率化」「永続化」「安定化」などで構成されます。これから「仕組み化」の要件を考察しながらこれらの概念に触れていきます。

企業目標の明確化

「仕組み化」の第一歩が企業目標の明確化であることは疑いの余地がありません。なぜかというと、これがまず固定され→それに従って目標達成の為のタスクが整備され→タスク遂行の組織と必要人員の要件が定められ→その人や組織に対する評価基準が決まるという「トップダウン型経営」の起点だからです。

ただ、絶対の存在で「先立つもの」が無い状態で決めていいものではなく、内部リソースと外部環境のあり姿との照合の中で決めるべきものです。「価値提供構築」フェーズから「仕組み化フェーズ」に移行しようとする際には既にある程度その中に所属する人が作り出す「グループダイナミズム」や「価値提供の自分たちなりのやり方」みたいなカルチャーが出来上がっている筈ですので、それを無視して「企業目標」というのは立てられません。また、企業目標はある程度「目標に向けた実行」とその成果が出てくるまでのビジネスサイクルがあることから「頻繁に変え過ぎない事」が是ではありますが、これも内部リソースと外部環境のあり姿を考慮しながら必要に応じ修正を加えて行く必要があります。

この企業目標はこれまで「仲間内」の阿吽の呼吸で「一点突破」を目指してやってきた「価値提供構築」フェーズから、仕組みを作り上げるために必要です。コミュニケーションの輪の中にいる人たちの阿吽の呼吸で理解しあえていた「目標」や「その目標に対するプロセス」を明文化し、多少の解釈は不可欠ですが文章としては「誰が見ても同じ」という「客観的(客観化)」な目標を作り、それを組織の中の人に対して「共有する(共有化)」することで、組織全体の「目標の共有」が出来ます。これが仕組み化の第一歩です。

目標達成の為のタスクの明確化

次のステップは立てた目標の為の「タスクの明確化」です。ロードマップと言ってもいいかもしれません。例えばダイエットで言ったら「3か月以内に10㎏痩せる」という目標を設定したとしましょう。ちょっと余談チックで「内部リソース」の話をしますが、例えば体重60㎏、体脂肪率10%の人がこの「10㎏痩せる」という目標を立てるのは危険です。なぜならこの方は「60㎏X10%=6kg」の体脂肪しかない訳で10㎏痩せるということは脂肪を完全に落とす以外、4㎏の筋肉や水分を落とさなければいけなくなり、結果として不健康な体となってしまいます。これが前のパートで言った「目標設定は内部リソースと外部環境を考えながら」という例です。
さて、「タスクの明確化」の話に戻して、「10㎏痩せる」方法として「筋トレ」「有酸素運動」「食事制限」などがあり、それらにも強度や様々なやり方があります。「食事制限」でカロリー制限があったり、糖質制限があったり、というのが一例です。これはこれまで述べてきた「価値提供」の部分と同じ類のもので、「価値提供タスク」と敢えて呼びましょう。
ただ、「目標」と「価値提供タスク」を設定したからうまく行くかというとそうではないです。「モチベーションを持って定期的に運動を継続するには?」「食事制限でストレスを溜めない為には?」といった「タスクを上手くこなすための課題」があり、それを上手くこなす判断をしたり新たなタスクを設定したりする必要が出てきます。これは価値提とは別のタスクです。「経営タスク」と呼びましょう。また、「価値提供タスク」での効率を最大化する為には「経営」から下りてくる形で「食費を予算内に収める」「ニーズに合ったジムを見つけてくる」「行ったことと体重減の進捗の記録を付ける」などという「サポートタスク」が生まれてくるはずです。

上記は「学園祭」フェーズでも存在していたかもしれません。しかし、その段階では非常に属人的で個々のメンバーの脳みその中にあった価値提供タスクを一旦棚卸するとともに、組織の目標とタスクをそれぞれのカテゴリに分けて分類することにより、「客観化」「共有化」「脱属人化(の一歩目)」が図れるようになります。
なお、余談ですがスタートアップでもある程度事業を進めてみて、「この事業立ち行かないかも・・・」と思った場合は事業転換を行うことがあります。「ピボット」ですね。これは必ずしも「目標」の転換は必要なく、「タスク」の転換です。私の知り合いの企業は同じ企業目標を持ちつつも、顧客への刺さり方・マネタイズの観点で「SaaS」から「コンサルティング」へと価値提供のスタイル=タスクの行い方を変えました。

タスク責任の所在-機能・組織作り

ここまで来たら次に何が起こるか、悪魔的な読者の皆さんであればご存知だと思います。タスクの遂行をする機能・組織を作り、その機能とそれを遂行する人にタスクとそのやり方を振り分けます。これで「組織」「チーム」が出来る事となります(ざっくりとした表現ですが)。

ここでいう機能は将来的には「組織」「部署」となっていくものですが、仕組み化黎明期においては「社内のある人の役割」という具合のものであるかもしれません。まだ組織を作れるほど人が採用し切れていない場合には、一人が多数の機能を兼務することはよくあります。例えば、CEOが営業部長とCFOを兼務したりですね。これは初期には致し方ないのですが、この「仕組み化ステージ」で長期化することは望ましくありません。というのは、「お金」の面では新しい人を採用しなくてよいので「コストセーブ」になるかもしれませんが、「脱属人化」と「効率化」および「組織の堅牢さ」という点では課題が多いです。「一人の人が複数機能を兼務している状態」というのは「脱属人化」の妨げとなるはその通りですし、厳密な意味で「機能Aに対処する時は機能Aの人間として」、「機能Bの時は機能Bの人間として」という風に厳格に自分のそれぞれのタスクの場面に於いて、そのことのみを切り分けて考える事を弁えて行える人はまれです。つまり、組織がファジーになってしまう、つまり「組織化」の妨げとなるわけですね。「仕組み化」ステージにおいては、ずるずると「学園祭」を続けない為にある程度意識しながら「組織化」を、目の前の業績よりも将来的な永続性を考えた上で行っていく必要があります。この意識が上手くできないとずるずると「学園祭」を続けていくことになります。また、これがどう「効率化」を促すかというとやはり「一人一機能」というのが、専門性の蓄積と発揮という意味ではBestではあります。組織の中で、役割を与えられ、それに没頭・まい進することが最も「効率が良い」働き方です。この点、「そうは言っても・・・」という企業が多いと思いますが、将来の為に現在の労力、時間、お金を費やす(Investする)べき部分です。
既存の組織や人の役割を変えて新たな機能を担うこととする場面に於いても、上記のスタートアップから初めての組織化の際と大枠変わりません。ただ、「これまでのやり方」「これまでの機能」に固執するのがホメオスタシス(恒常性)の強いのが人間の性ですので、これを無理やりでもひっぺ返しながら機能を「植え付けていく」必要があります。

ガイドライン、評価基準の明確化

組織、人の機能が明確になったら、タスク達成を軸にしながら「評価基準」の策定をします。つまり、企業における「人事評価」を構築していくこととなります。前の投稿で「スタートアップは仕組みがないからモチベーションに頼る」と申し上げましたが、これは個々人の内発的動機づけに頼る仕組みです。「仕組み化」ステージでは明確な評価基準を基に人と組織を評価し、ボーナスなりベース給なり昇進なりの「報酬」を与えていくという外部刺激で働いてもらうこととなります(もちろん内発的なものも依然としてあります)。対比で言うならスタートアップ期は「個々人のモチベーションを上げて・それを活用する」、仕組み化期は「個々人のモチベーションを下げない様に明確な評価基準を提示し、それに従い評価し、期待外れではない「報酬」を与える」という人の活用の仕方となります。つまり、「期待値を満たす人事評価」が必要になり、「期待値を満たさない人事評価」を排除することとなります。
なぜこれが必要かというと、「永続化」と「安定化」の為です。そのバックボーンになるのが「客観化」と「共有化」です。後の2つからご説明するとまあ、これは簡単で明確で「客観的」な評価基準を組織全体に「共有し」浸透して運用する必要があるからです。で、評価基準というのは何のためにあるかというと「会社全体の目標を達成する為」ですが、目標達成は単年の場合でも365日のスタミナが必要であり、且つ企業は継続性の前提があるので単年より長期的に継続的に目標達成することが是で、その場合はもっともっと長期でのスタミナが必要となります。企業目標の細分化されたものが組織目標なり個人目標になるのですが、「その達成に対してどういう報酬が待っている」と意識出来るから1年を駆け抜けられる、またそれを連続的に達成できるわけです。これが企業の「永続化」と「安定化」に貢献するわけです。個々人の内発的なモチベーションはゆるりと脈々とあるのは良いことですが、一方でスタートアップの様に「爆上げ」出来るのは期間が限られており、その後には「バーンアウト=燃え尽き」が待っているわけです。「仕組み化期」にはモチベーションに頼らず人のパフォーマンスを上げる必要があるので「人事制度と人事評価」が必要となるわけですが、多くの企業が「制度」におんぶにだっこ状態で「ヒューマン」な側面を持ってコントロールできていないのは日本的だな~、と思う次第です。これについてはまた今度書きます。

この章では「仕組み化」期は「再現性」を作りだすためのスタートアップ期からの変革期と捉え、その「再現性」を実現するために「客観化」「共有化」「脱属人化/組織化」「効率化」「永続化」「安定化」が必要と述べました。組織の構築中心に述べましたが、それでもヒューマンな側面、コミュニケーションは重要です。これは今度書きますが、次の章はそのコミュニケーションの主体、「人」について述べて参ります。

経営陣:「価値提供の体現者」から「経営者」へ

スタートアップ期では経営陣も「価値提供プロセス構築」に組み込まれた「価値提供の体現者」でした。一方、「仕組み化期」では「価値提供タスク」=営業部、プロダクト開発など、営業キャッシュフロー創出の為の部隊、「サポートタスク」=経理財務人事総務を中心とした所謂「バックオフィス」と呼ばれる「価値提供」を支えるタスク、及び「経営タスク」に分かれます。創業者、経営者はこの「経営タスク」を担っていく存在となります。

しかし、「なかなか仕組み化が出来ないんだけど・・・」と仰る経営者は自分自身を「経営タスク」に置くことが出来ないが故の場合も多いです。経営タスクについてはこの記事の前半部分で多く触れたので今回は割愛します(前の記事読んでね♡)、きちんと自分自身を「価値提供」と切り分ける事の出来ない経営者が多いのですよね。その理由は、ぶっちゃけ「経営タスク」は「つまんない」からに他ならないかと思います。実はこの「つまらなさ」なかなかに重層的です。見て参りましょう。

「仕組み化」出来ない経営者がいる理由①「臨場感のなさ」

仕組み化期に於いて経営者は「経営タスク」を担うこととなります。スタートアップ期の「価値提供の中に居て自ら率いるフェーズ」においては「現場」という自らが臨場感を持って挑める場があり、そこでは必ずしも予想通りの結果が出ないという「ギャンブル性」の中での体にも脳みそにも汗をかいて「価値提供プロセス」を構築することとなります。スタートアップ期の経営者に対して「コンサートマスター(コンマス)」のアナロジーを使いましたが、仕組み化期においては現場を離れ経営者は「指揮者」になります。つまりは自分自身では楽器を演奏する立場ではなくなるわけですね。アドレナリンが出る「スタートアップ期」を経て、仕組み化期ではアドレナリン出していたら冷静に判断できなくなる「人と組織の目標と進捗を判断する」という役割期待となるわけです。これを「つまらない」と考える方は多く、「仕組み化期」に移行しなければいけない時期なのにやっぱり「価値提供」に口出し、手出ししてしまったり、時には営業の商談に同席してみたりという方々は多いです。

「仕組み化」出来ない経営者がいる理由②「強みがある分野から離れたくない」

「つまらなさ」のもう一つの側面は「好きこそものの上手あれ」という言葉がありますが、「自分の得意としていたことから離れなければいけないから」というものがあります。これは職人系やガテン系の人たちに多かったりするのですが(ステレオタイプだったらごめんなさい)、創業期は「自分自身がその技術が高かったり、他の人に明確な指示を現場で出せるから人がついてきた」というのがあるかと思います。つまりスタートアップ期においては「価値提供のリーダー」で、そうであることが「自分の存在価値」であったわけです。
一方で、「仕組み化期」ではその「自分が得意としていた価値提供」から経営者として離れて、価値提供の部分は「ある程度の人ならだれでも価値提供できる仕組み」が必要になります。そして、経営者として経営者タスクを担うこととなる訳ですが、このステージで「俺って経営が得意なわけではないんだけどな・・・」なんて内々では思っていたり、そもそも「経営者になる為の学び」が出来ない状態に至ってしまっていたりします。
いやいや「経営者になる為の学びが出来ない状態」になるなんて(笑)・・・と仰る方もいるかもしれません。しかし、地方に行けば行くほどこれが当てはまると思うのですが、この頃になるとある程度「地元の名士」みたいな立場になったり、銀行も面談ではヨイショしてくれたりと「自分は偉い人間だ」なんて勘違いしちゃうことも出てくるわけです。「自分は偉い人間だ」=「自分は既に素晴らしい経営遂行能力を持っている」と勘違いする人間が「経営者になる為の学び」に訴えることはありません。だってその必要性を感じていないからです。そして、自分自身は「価値提供」にも強みを感じているものですから、「誰かに『任せる』よりも自分が関与するこが経営だべきだ」という帰結になってしまう訳です。
例えば、経営者が「私が自らの口から毎週現場に対して指示を出しています!」というのは聞こえがいいですが仕組み化が出来ているかどうかに関しては眉唾です。

実は伏線回収でも何でもないのですが、今回いつも使う「マネジメント」ではなく敢えて「経営」という言葉を使っています。というのはこの仕組み化期になると「経営者」として行うべきマネジメントは「Directorship: ダイレクターシップ」により近いからです。「ダイレクターシップ」は「マネジメント」に包含されるの一つのマネジメントの形ですが、タスクの階層と現場との距離感がよりHigh Layerからのものとなります。「マネジメント」は広範な概念で、その中で今回は「ダイレクターシップ」が該当するのですが、まだビジネス用語として日本で一般的とは言い難く敢えて日本語の「経営」という言葉を使いました。

「仕組み化」出来ない経営者がいる理由③「自分が拘束されたくない」

「仕組み化」していく中で会社の目標・組織・ルールを整えていくわけですが、「仕組み化」が進まない理由の一つの側面は「自分がその目標やルールに囚われたくない」と思う経営者がいるからです。
大原則、会社の目標やルールというのは「例外」を作ってはいけません。「例外」の人はFree Rider(ただ乗り者)ということになります。特に企業の経営者は「企業目標の第一の奴隷(Servant)」として率先してそれを実践する者という役割があります。しかし、上述「偉くなってしまった」経営者はその仕組みの中に囚われたくないと思ってしまいまったりして、自分と企業の目標やルールを結び付けず「やりたい放題」したりします。こういうことを防ぐためには、経営者の地位は返上し経営はよりそのタスクをこなせる人にお任せし、創業者として「株主」の立場から会社を見守る、もしくは最近一般的になってきた「会社が立ち上がったらM&A」というのが最適だと思うのですが、「偉くなった」方にこの客観的な決断を求めるのは酷なのかもしれません。悪魔が「偉くなりたくない」「モブキャラで居続けたい」と思うのは「客観的判断が出来なくなるから」これが理由です。超余談ですが。

こうした企業及び、企業経営者はなかなかに多かったりします。ですが、企業のトップである経営者がそのような状態だと「目標を達成できない組織」「ルールを守れない組織」が出来ます。それなので創業30年、40年経っても「学園祭」の様相を呈している企業も私は見て参りました。そんな企業、経営者が「なかなか仕組み化が出来ない、業績が思ったように出ない」なんて言ったりします(笑)あ~、こりゃこりゃ。

人:「職能人」

ぶっちゃけ、経営者以外の「人」、特に役職無しの「社員」という意味で、この章で書く事は非常に少ないです(笑)もう既に今回の投稿で書き連ねたことを思い返していただければわかると思いますが、「仕組み化期」における「社員」に求められる姿は「職能人」です。「所属する組織と自分自身に与えられたタスクと目標を理解し、そのガイドラインに従って目標達成する人」です。よく「爆速で成長する~」とか「猛烈に成果を上げる人の~」みたいな本が売れてたりしますが、「爆速」も「猛烈」も全て「仕組みの中」にあるべきものなんですよね。そのなかで素晴らしい成果を上げられることを否定しませんが。「仕組み化」の中の社員は「仕組みの中でうまく立ち回る人」です。
勿論コミュニケーションは重要ですし、グループダイナミズムも存在します。それらを上手く乗りこなすのも会社は「人の集まり」ではあるので重要ですが、特に評価する側がそういう「恣意性」を出すのも「仕組み」という意味ではある程度の線引気をしながら発揮すべき事象かと思います。

まとめ

今回は「仕組み化」ステージについて取り上げて解説してきました。「仕組み化」は「再現性」をもたらし、企業活動が安定的に永続化する為にあります。その企業の中にいる人は全て「仕組みの奴隷(Servant)」ですが、その意識をきちんと持てるか、これが課題ですね。ではでは。

 

-経営・マネジメント